英語を身に付けるうえで重要なカギになるのが「英語脳」という考え方です。
聞き覚えがある方も多いと思います。
辞書に載っているような正式な日本語ではありませんが、英語学習業界では「英語を脳内で日本語に訳すのではなく、英語のまま受け止める」もしくはその逆のことができる思考のことを指します。
皆さんは、英語を使う時はどうしているでしょうか?
まず日本語で文章を作ってから英語に翻訳する、という順番で文章を組み立てていますか?
英語のリスニングをする際に、聞いた文章を日本語に訳して考えているでしょうか?
英語脳とは、二段階になってしまっているその思考のプロセスを一回にまとめることができる思考法、と言い換えることが可能です。
非ネイティブが実用的に英語を操れるようになるには、英語脳の感覚を掴むことが大切です。
でも日本人なのにそんなの無理!と思った人へ。
諦めるのはまだ早いです。
なぜ無理だと思うのでしょうか?
本当に英語脳を手に入れるのが無理かどうか、しっかりと考えたことがありますか??
実はささいなことを改善するだけで英語脳を手に入れるきっかけになるかもしれません。
英語脳にはまずは語彙!
日本語が母国語の日本人が英語を最初に習うときは英語→日本語の変換で問題ありません。
たとえばAppleは「リンゴ」、Bookは「本」だと習ったはずです。
でもAppleと聞くと、パッとリンゴのイメージ、Bookで本のイメージを浮かべることが出来ると思います。
これが英語脳です。
Apple→リンゴ→リンゴのイメージを思い浮かべる人が少ないのは、Appleという単語の意味が頭に染みついているからです。
日本語に変換する作業をすっ飛ばして、瞬時にリンゴというイメージ・概念をとらえることが出来ます。
究極的にはどんな長い英文でも、この「意味が頭に染みついている」状態を引き出せれば日本語に訳さずとも理解することができます。
ということは逆に、英語脳になっていない人の可能性として考えられる一つは、単純に英語に慣れていない、英単語の語彙が少ないということです。
言われた単語の意味をぱっと思い出すことができなかったり、使いたい言葉・表現を英語でなんと言えばいいのかわからない場合は、まず単語の意味を知らないため、そこで思考がストップしてしまうのです。
また、リスニングが苦手という人も、文章を聞き取る以前に単語の語彙数が少なすぎて、聞いた音に対応する意味が頭に浮かばないから結局何を言ってるかわからない、ということが多いです。
共通して言えるのは、単語力不足です。
英語脳という言葉に踊らされず、まずは語彙力を強化しましょう。
何も考える必要なく意味がパッと浮かぶ単語を増やしていくのです。
最近の単語帳はCDが付いているものが多いので、CD付きの初歩の単語帳を1冊完璧に覚えれば、かなり「英語脳」に近づきます。
完璧主義は英語脳取得に邪魔!
英語を使う時にいちいち日本語に訳してしまう原因で次に考えられるのが、「間違ったことを言いたくない」という気持ちが強いあまり、頭の中で完璧な英文を組み立ててから発言するというような「完璧主義」によるものです。
このタイプは、TOEICでハイスコアを取っているなど、英語力がある程度高いのに英語が出来ない、という人に多い印象があります。
間違えないように話す、ということ自体は悪いことではないのですが、慎重になりすぎるあまり、わざわざ考える必要がないほど簡単な英文でも翻訳をする癖がついてしまったというパターンもあります。
頭の回転が速い人なら大したタイムラグではないから、という声も聞こえそうですが、実際の英会話となるとこのラグが命取りになる場合もあります。
自分が考えている間にも、会話は進んでいくのです。
海外の文化では議論をする場面が多いため、会話の中で意見を求められることも珍しくありません。
そんな時、日本語で答えを考えるだけでも時間を食うというのに、それを更に英語に直していては「もういい」と言われてしまいかねませんよね。
何も発信できないより、たとえ洗練された言葉ではなくても気持ちを伝えることが大切な場面というのも多いもの。
間違っててもとにかく発言してみる!と、少し意識を変えてみてはいかがでしょうか?
そもそも英語脳なんて言う概念がなかった
少し変わったところでは、英語脳という発想がそもそもなかった、というパターンも有り得ます。
つまり、自分は日本人で日本語を使ってきたから、日本語で思考して当たり前だ……と思いこんでいるパターンです。
確かに日常的に日本語ベースで思考をしていれば、当然そういった感覚を持って不思議ではありませんよね。
ですが、日本語を送受信しているからこそ思考が日本語ベースになっている、という考え方をしてみてはどうでしょうか。
英語を話し、英語を聞いていれば、自然と英語で次の話題を思考してもいいと思いませんか?
言語によって発想=発言内容が変わる、というデータもあるくらい、言語は面白いもの。
英語で考えてもいいんだ、と思うことができれば、意識も変わってくるものです。
それでも英語脳は無理という人へ
それでもわからない!無理だ!という人は、そもそも実感がわかない、英語脳がどういう感覚なのか想像ができていないのかもしれません。
最初にApple、Bookの例を出しましたが、もっと極端な話をするならば、英語脳ができていない人は「I’m from Spain.」と言われた時に、「I'm(私は)from(来た)Spain(スペイン)」→「私はスペイン出身です。」→ああ、この人はスペインから来たんだと納得していることになります。
この簡単な文章をわざわざ日本語にする意味はあるでしょうか?
あとで思い出すための情報として記憶するなら構いませんが、会話の中や文中で出てきた時に、日本語にするほどのものではありませんよね。
簡単すぎて日本語に訳すまでもなく、スペインから来たことが理解できる。
英語脳とは基本的にはこういうことなのです。
英語と日本語をわざわざ切り替え、脳内で全く別ものとして使用するのでは、何か掴むためにいちいち腕を付け替えているかのようです。
そうではなく、腕は同じ腕のまま、ただ英語・日本語という道具を使い分けるように、同じ素材(文章)を扱うだけでいいのです。
英語脳は日本人でもトレーニングで手に入れることが出来ます。(トレーニング法はこちらの記事にまとめました。)
https://eigogym-hikaku.net/post-569/
英語脳は英語習得において必須ではありませんが、一度この感覚を身に着けてしまえば強い味方になってくれる便利なスキルです。
自分には絶対無理だ!と諦めるのではなく、「いつか」を目指して意識してみると良いかもしれませんね。