私たち日本人にとって、英語の難しいポイント、面倒なポイントは何かと聞くとかなりの確率で冠詞が挙がると思います。
ご存知のように英語にはaとtheの冠詞があるわけですが、日本語にはない概念なので、冠詞の使い分けがよく分からなくて英語学習でつまづいてしまう人も多いと思います。
では一体ネイティブはどうやって冠詞を使い分けているのでしょうか?
実際ネイティブにズバリの質問をぶつけてみても、明確に答えられる人は多くありません。
というのも、英語ネイティブにとっての冠詞は日本語話者にとっての「てにをは」と同じで、考えて使い分けるものではなく、自然と身に付くものだからです。
そんなレベルのことを非ネイティブである日本人がマスターするのはかなりレベルが高いですよね。
ということで、冠詞の使い分けを完璧にマスターしよう!などとは思う必要はありません。
冠詞で迷って話せないくらいならば、間違っていてもいいから話すべきだと思います。
ネイティブ相手なら冠詞が少しくらい間違っていても意味が通じますので問題ありません。
とはいえ、aとtheの使い分けについて、理解しておいて損はありません。
ここでは最低限覚えておいた方がよい冠詞の使い方を紹介したいと思います。
目次
冠詞があるときと冠詞がないときの違いは何?
冠詞は定冠詞(the)と不定冠詞(a/an)の2種類からなり、いずれも名詞の前に置かれて使用されます。
"the"は単数形にも複数形にも適用されますが"a/an"は単数形のみに適用されます。
英語の名詞は基本的に冠詞+名詞の形になりますが、なかには冠詞が付かない(=無冠詞)名詞もあります。
冠詞アリの名詞と無冠詞の名詞の違いって何なのでしょうか?
これを理解するために、まずは無冠詞の場合を見てみましょう。
お茶が好きだと言っているのですがどのようなお茶が好きなのでしょうか。
緑茶?紅茶?ウーロン茶?
この場合の「Tea」は、お茶全般が好きなのであってどのような種類か、どれくらいの量かまでは特定されてはいませんよね。
このように形の見えないぼんやりした名詞(抽象的なイメージや概念など)に対しては冠詞が付きません。
一方、冠詞が付く場合はその名詞の輪郭が見えてきます。
例えば「Chicken」は無冠詞と冠詞アリ、両方使用できます。
無冠詞の場合は
のように使われ、意味は「私は鶏肉が好きだ」となります。
この場合、鶏肉という抽象的なイメージを指しているのでchickenの前には冠詞が付きません。
一方
となるとどうなるでしょうか。
冠詞がchickenの輪郭をくっきりと表わしてしまうため、『それはニワトリのように見える』という意味へと変わってしまいます。
以上の例のように、冠詞が付くと「具体的に形をイメージできるもの」、冠詞なしだと「形のない抽象的なもの、概念」という違いがあります。
冠詞a/anとtheの使い分け
中学1年生の時初めて習った冠詞についての解釈は次のようなものでした。
『会話の中で初めて出てきた単数には"a"を、その次に同じ単語が出てくるようであれば"the"をつける』
確かにそうなのですが、これだけでは説明が不十分です。
実際会話の中で初めて出てきた単語に対しても"the"をつける場合も多々あります。
では、どのように理解すればよいのでしょうか。
一言で定義すると
『話し手と聞き手の中で1つに決められるものには"the"を、そうでないものには"a"を付けるか無冠詞』
となります。
ここからは実際に使用例を挙げていきます。
文脈から決まる場合
次の例文を比較してみましょう。
I'm going to meet him at the cafe in Ginza(これから彼と銀座のカフェで会うところ)
日本語にするとどちらも同じ意味となりますが、実際は微妙に意味合いが変わってきます。
前者は"a cafe"なので、『銀座に数あるcafeの中のどれか1つ』という理解になります。
つまり、銀座のcafeで会うことにはなってはいますが、どのcafeで会うかまでは決まっていないのです。
聞き手の中ではcafeを1つに絞ることができません。
一方後者は"the cafe"なので『銀座にある、〇〇cafe』となり、すでに具体的にお店が決まっていると理解できます。
では次の例文の場合、()内に入る冠詞はどちらになるでしょうか。
会話の中で最初に出てくる文だと想定してください。
実はこれ、"a"となる場合と"the"となる場合の両方が考えられます。
この話をする以前に買いたい本の情報をお互い共有していれば"the"、そうでない場合は"a"となります。
説明しなくても特定できる場合
常識的にいちいち説明しなくてもその物が特定できる場合、いつでも冠詞は"the"となります。
例えば、話そうとしている相手のすぐ側に1つのカップがあったとします。
そのカップを持ってきてほしい場合はBring me the cupとなります。
具体的に持ってきてほしいカップが1つに特定できるので冠詞には"the"を用います。
逆にBring me a cupのように、「a cup」 というと、発言者からも相手からもCupは見えておらず、どこかからCupを持ってきてほしいという意味になります。
代名詞的な存在
あのバスケットボールの神様マイケルジョーダンには伝説のプレイがあります。
The Shot2
The Last Shot
The Move
バスケットボールファンの人たちがほらあれだよあれ、と思わず言ってしまいそうなプレイばかりです。
言わずとも特定できる代名詞的な存在に対しても冠詞には"the"を用います。
自然界に存在する
また、自然界にも説明するまでもなく1つに決まるものがあり、それらにも"the"がつけられます。
例として"the earth", "the Pacific Ocean"が挙げられます。
まとめ
冒頭でも述べましたが我々のような非ネイティブにとって冠詞の使い分けは難しいものです。
正しく冠詞を使えるに越したことはないですが、「間違ったらどうしよう」と委縮してしまうくらいなら間違ってても積極的に英語を使っていったほうが上達あは早くなります。
今回紹介したようなイメージを身に付けることができれば、ある程度スムーズにネイティブの人とも会話ができるのではないでしょうか。
是非参考にしてみてください。