英語学習は継続が何よりも大事。
そして、分かっているけどなかなか続かないのが英語学習の難しいところでもあります。
毎日頑張って勉強してもなかなか上達が目に見えず、もう英語なんか辞めちゃおうかな、という気持ちになっているアナタ。
その気持ちはとてもよく分かります。
だけどせっかくこれまで身に着けてきたものをここで全て手放すのはもったいないです。
少しだけ休んだらまた頑張りませんか?
え? もうモチベーションが下がりまくって無理ですと?
英語なんか出来なくても日常生活になんにも困らないし、海外旅行だって片言で通じるし、イザってときは通訳に頼めばいいもんね~ ですか。
では、そんなあなたに少しだけ怖い話をしましょう。
英語が出来なかったために人生が変わってしまった人のお話です。
「メルボルン事件」って聞いたことありますか??
日本人にも大人気のオーストラリアの観光都市、メルボルンで起きた事件です。
知れば知るほど、何がなんでも自分で英語が出来るようにならなければ!と思わせられる事件です。
「メルボルン事件」の概要
メルボルン事件は、日本人がオーストラリアで巻き込まれた麻薬密輸疑惑事件です。
1992年6月、個人旅行を組んでオーストラリアに観光にやってきた日本人グループが、メルボルン空港で麻薬密輸の容疑で現行犯逮捕されました。
以下がメルボルン事件の概要です。
日本人Aさんを含む男女7人のグループが、Aさん主催でオーストラリア旅行に行くことを計画しました。
一行は最初に成田から一度マレーシアのクアラルンプールに行き、現地でAさんの知人に会います。
そして、その後オーストラリアに向かう計画でした。
ところがクアラルンプールで、スーツケースを盗まれるハプニングに見舞われます。
荷物は無事見つかったのですが、スーツケースは壊れていて使い物にならなくなっていました。
そこで、Aさんの知人が用意してくれた、“新しいスーツケース”に荷物を移し替えて一路メルボルンへ。
ところが、メルボルンの空港に到着すると、スーツケースからは麻薬反応が!!
実はこのスーツケースは二重底になっていて、中に麻薬のヘロインが隠されていたのでした。
クアラルンプールで出会った知人は親切心ではなく、彼らを麻薬の運び屋として利用するために“新しいスーツケース”を用意したのです。
その結果、日本人グループ7人中Aさん含む5人が逮捕され、懲役15~20年の実刑判決を受けました。
現在は全員、仮釈放を迎え帰国しているそうです。
英語ができなかった一行と能力のない通訳が事件を複雑化
このメルボルン事件は、逮捕された日本人がもう少し英語が理解できれば結果が変わっていたかもしれないと言われています。
実は逮捕された5人は全員英語ができませんでした。
それも「全く分からない」というレベルです。
オーストラリアは先進国ですから、どんな事件の裁判であっても弁明の機会が与えられます。
たとえ容疑者が外国人(日本人)であってもです。
ところが一行は全く英語が出来なかったため、逮捕・拘束され、事情聴取、そして裁判に至るまで、言葉で自分自身の身を守ることができなかったのです。
オーストラリアは観光客や移民が多い国ですから、こういった場面では通訳を利用できます。
しかしこの事件で地元警察が連れてきた通訳は、ほとんど日本語なんかできない無能な人でした。
さらに不運なことに、経費削減のために逮捕された5人まとめてこのポンコツ無能通訳さん1人が請け負っていました。
容疑者たちは全く英語が出来ない、用意された通訳が通訳としての能力が全くない。
これがメルボルン事件を複雑化させた原因ともいわれています。
オーストラリアの司法当局は当時、5人が第三者によって麻薬の運び屋にされたのでは?という可能性を考えました。
ところが取り調べの際、一行がスーツケースにヘロインが隠されていたことを最初から知っていたそぶりを見せたため、裁判の結果有罪となってしまいました。
実はこれは、ポンコツ通訳が英語の質問を正確に日本語に翻訳できず、容疑者の日本人たちが正確に質問の意図を理解できなかったために起こりました。
要は、容疑者とされた日本人たちとオーストラリア司法当局のコミュニケーションが全く取れていなかったのです。
言っていることと真逆のことを伝えるわ、文章が成り立っておらずメチャクチャだわ…
これが事情聴取から裁判まで一貫して続き、どんなに無実を訴えても相手に通じることなく有罪が決定してしまいました。
メルボルン事件は冤罪だったのか?
Aさんの知人からヘロイン入りのスーツケースと知らずに渡されたのですから、一行は被害者だった。この事件は冤罪だったという見方もあります。
2006年までにメルボルン事件で有罪判決を受けた日本人は全員刑期を終えて日本に帰国していますが、発生当初から現在に至るまで、メルボルン事件は冤罪だった説がたびたび話題となっています。
ところが、これについては完全に真っ白とは言い切れないものがあります。
主犯格とみられたAさんは元暴力団員でした。しかも薬物事件での逮捕歴があったのです。
もしかしたら彼だけでも、クアラルンプールの知人と仕組んで、分かった上で運び屋をやったのかもしれないという疑惑が持たれています。
ひとつだけ確かなことは、もし通訳がきちんとした有能な人だったら、彼らは無罪放免だったかもしれない。
それ以上に彼ら自身が英語ができていたのなら、しっかり自分の弁護ができたかもしれない、ということです。
英語ができないがゆえに通訳が訳していることがおかしい、ということに気づけませんでした。
全部英語で書いてある書類を読むように言われても、なんと書いてあるのか分からないまま署名せざるを得ませんでした。
彼らがもう少し英語が出来ていたなら、違う結果になっていたかもしれないのです。
英語は盾であり矛である
「英語を武器に」というフレーズはよく聞きますね。
ライバルを押しのけて就職に有利だったり、いいポストにつけたりなど、英語は武器としてとても優秀です。
しかしこの事件からは、「英語は身を守るための盾でもある」ということがよく分かります。
攻守に長けたオールマイティなツールだからこそ、手に入れるのが容易ではない。
こう考えると学習効果はすぐに出ないし、長期間の努力が必要、ということにも納得しませんか?
モチベーションが下がるたび思い出して
本人たちが英語が出来ていれば結末、ひいては人生そのものが違っていたかもしれないこの事件。
私自身、しばらく勉強していなかったりすると、この事件を思い出して危機感を感じてすぐさま勉強に取り掛かるくらい強烈なインパクトを持っています。
日本人が海外でトラブルに巻き込まれるケースは非常に多く、英語ができなかったために悲惨な結末になった方もいます。
しばらく海外渡航の予定はない、という方も、近未来はともかく長期的にはどうなるか分かりません。
予定のない今のうちから学習を積み重ねて「自分の身は自分で守る」という気持ちで英語に向き合ってください。
モチベーションが上がらず、ちょっと挫折気味になっている方は、これを読んで発奮していただけたでしょうか?
通訳はアテにならない。むしろ敵になることもある、ということを如実に表した事件です。
きちんとした資格を持ったプロならともかく、この事例ではちょっと片言で喋れるだけのズブの素人によって運命を決められたわけです。
いずれにしても人に頼りすぎるのは良くありません。
学習意欲がなくなってきたら、ぜひこの「メルボルン事件」のことを思い出してくださいね。