ビジネス英語と日常会話の違いとはなんでしょうか。
多くの方は日常会話に比べてビジネス英語のほうがレベルが高いと考えているようです。
しかし、日常会話とビジネス英語の違いは、レベルの高低ではありません。
例えば一口に日常会話と言っても、日本語で話すように英語で日常の会話ができるレベルというのは、かなり高いレベルと言えます。
逆にビジネス英語といっても、単に電話での簡単な応対や社内での決まりきったやり取りならそれほど高いレベルは必要ありません。
では、日常英会話とビジネス英会話の違いはいったい何なのか?詳しく見ていきましょう!
この記事を書いたのは
米国の大学を卒業後、日本の企業向け英語研修事業でプログラムディレクターを10年以上務める。10年ほど前からはフィリピンに移り、社会人向けフィリピン語学留学事業に携わる。ビジネスパーソンを巡る英語事情を20年以上見続けてきた経験から、英語に関するコラムを多数執筆中。
目次
日常会話とビジネス英会話の違いその1
一般的にビジネス英会話では、日常会話よりもより丁寧な表現や言い回しを必要とします。
これは、日本語でも仕事で使う場合は多少なりとも丁寧で固めの言い方をしなくてはならないのと同じです。
日常会話では、” What’s your name?”で問題なくても、ビジネスで同じ言い方をすれば常識を疑われます。
仕事では、”May I have your name, please?”と言うべきです。
ビジネス英語は、いわば丁寧語でもあるわけですね。
いくつか簡単な例を挙げてみましょう。
日常会話 | ビジネスにふさわしい | |
~したい、欲しい | want | Would like to/Wish to |
なるほど | I see! | That makes sense! |
大丈夫です。 | No problem | It’s my pleasure. |
私もそう思います | I think so, too. | I agree with you. |
ありがとう | Thanks | I really appreciate it. |
日常会話とビジネス英会話の違いその2
2つ目の違いは、ビジネス英会話ではできるだけ洗練された言い回しや表現を使うことです。
日本語の場合でも、日常で使っているような「おこちゃま」的な言葉遣いだとビジネスの場にふさわしくありません。
身近な言葉を例に挙げれば、自分の両親のことを相手に話すのに「お父さん、お母さん」と言ってしまう場合。
ビジネスや仕事の現場でこれをやってしまうと、大人としてちょっと恥ずかしいですよね。
英語も同じで、仲のいい同僚で話している時は「My mom」「My dad」と言っても差し支えありませんが、上司や取引先の人と話をするときにコレだと、かなり恥ずかしいです。
他にも「別の選択肢も考えてください」と言いたいとき、日常会話表現では“Please think about some other options.” でOKですが、“ Will you consider some other options?”と言えるとよりビジネス英語らしくなります。
言葉のニュアンスとして、thinkよりもconsiderのほうが「よく考える、熟考する」という意味合いが強いからです。
もちろんthinkでも間違いではありませんし、意味は十分に通じます。
ここでは、十分に意味は通じるけれどもビジネスでは、こちらのほうがより洗練されているという例を挙げます。
日常会話 | ビジネスにふさわしい | |
作る、作り出す | make | generate |
起こる | happen | Be the consequences |
終わる | Finish/ end | Result in |
あの時(あの際) | That time | That occasion |
日常会話とビジネス英会話の違いその3
3つ目の違いは、ビジネス英会話では日常会話よりも論理的に、わかりやすく話す必要があるということです。
仕事の話をするときは雑談のようにだらだらとオチがない話を続けるのではなく、相手に明確にこちらの意図を理解してもらうために、物事を順序立ててはっきり伝える必要があります。
日本語では、相手の意図を察するという文化が背景にあるため、回りくどい言い方や曖昧な表現がビジネスの現場でも許容されることも多いですが、英語の場合にはそうはいきません。
特にビジネスでは、細部の重要なポイントが明確に伝わっていない場合は致命的なミスにもつながります。
英語では結論を先に言うという習慣があるので、あれこれと理由を先に並びたてると誤解の元となります。
ビジネスメールを書く際も、用件は一番最初に言います。日本語メールのように時候のあいさつがなくても問題ありません。
日常会話とビジネス英会話の違いその4
4つ目の違いは、ビジネス英語では専門用語の知識が必要になる場合があることです。
これは日本語でも同じですが、ビジネスでは日常会話ではまったく耳にすることがないような専門用語を使うことがあります。
もちろん、自分の仕事に関係のある言葉ですから、意外と普段から「カタカナ」遣いをしている可能性もありますね。
専門用語はさすがに皆さん自分で個別に勉強するしかありませんが、そこは避けて通れない絶対に必要な知識です。
日常会話とビジネス英会話の違い・まとめ
ここまで日常会話とビジネス英語の違いを挙げてみましたが、要するに、日本語での日常会話と仕事で使う言葉の違いとなんら変わりはありません。
日常会話とビジネス英会話、同じ英語だけど使われる単語や言い回しが違うというだけで、どちらのほうがレベルが上ということはないのです。
ですから、日常会話もできないのにビジネス英語は無理ということはありません。
社会人になってから英会話をトレーニングするなら、いっそビジネス英語から始めてもいいでしょう。
丁寧で洗練された言い回しを覚えておいて損はありません。
ただひとつ言えるのは、本当のビジネスの現場で英語を使うとき、非ネイティブに求められているのは、難しい言い回しなどではなく、むしろ明確でシンプルな表現でのコミュニケーションであり、誤解のないやり取りであるということを忘れないでください。
この記事を書いたのは
米国の大学を卒業後、日本の企業向け英語研修事業でプログラムディレクターを10年以上務める。10年ほど前からはフィリピンに移り、社会人向けフィリピン語学留学事業に携わる。ビジネスパーソンを巡る英語事情を20年以上見続けてきた経験から、英語に関するコラムを多数執筆中。